女の敵は女〜シズノ

大木自身は私に隠していた本当の離婚理由を

大木に断りもなく

更に言えば

少し嬉しそうに話してきたシズノ。


彼女も同級生飲み仲間のひとりだ。


独身。

彼氏なし。

私が知る限り恋人がいたことはない。


飲み仲間の中で

少しでも男女の仲に発展するような発言や動きがあると

彼女は激しく反応する。


「あの二人怪しいよね!?」

「あの男のどこがいいんだろうね!?」

「あの子男にだらしないよね!?」


皆いい大人だし

私やシズノが実害を受けたわけでもないのだから

関係ない。


共感を求めないで欲しい。


だが、

「いいんじゃない?」

なんてそっけない返事をするたび


「山本もああいうの好きなの!?」

「山本も男に媚びるんだ!?」


と攻撃される。


面倒くさい。


シズノは本当は嫉妬しているのだろう。


決して見た目が悪いわけではないのに、

むしろ美人の部類なのに、

異性から声をかけられることがほとんどないそうだ。


彼女の

心に渦巻く妬み僻みは

表情に現れているし、

言葉も棘がある。


よく、男は外見に騙されると聞くが

シズノに関しては

美しい外見でも覆いきれないものがあるのだろう。


闇だ。


ただ、

私はシズノの闇に

同情することは今はもう出来ない。


その闇は私には毒として振りかかってきたから。